こんにちは。研修医アッキーです。
私は今研修医2年目も終盤に差し掛かっていますが、私は一度だけいわゆる「お客さまの中にお医者様はいらっしゃいませんか?」で遭遇したことがあります。
本日はそのことについて、今だから思うことなども併せて話します。
遠出する際の特急列車
私が働く病院は田舎にあります。
東京まで行くのには特急列車+新幹線を乗り継いで行く必要があります。
その特急列車に乗っていた時でした。
その時は、医師国家試験合格が決まり、新居への引っ越しが終わったときでした。
つまり医師免許試験には受かったけど、医師として働いたことはない。といった状況でした。
そんな時に、電車に乗って10分くらい経つと
「お客さまの中にお医者や看護師の方はいらっしゃいませんか?」
と言ったアナウンスがありました。
私はその時は、ちょっと行こうかな?という気分にはなりましたが、医師として働いたことはないし、経験も実習しかないから様子見ようと思っていました。
所が、数分後、車掌が車内を歩いて一人一人の顔を見ながら、「誰か医師か看護師はいませんか?」と言いながら車内を巡回してきました。
そして車掌と目があい、「誰か医師か看護師ではありませんか・・・」と言われました。
流石に車掌と目が合って知らないふりをすることができず、「一応・・・」みたいなやや自信なさげな感じで対応しました。
そして、車掌に連れられて行くと、60代くらいの女性で、息苦しそうにして、過換気になっていました。
その時に鑑別疾患などを考え、「急性発症だからエコノミークラス症候群??過換気症候群?喘息??」など色々頭に巡ってきました。
経験がないながら頭をフル回転して疾患を考えましたが、同時にこれ以上やれることがないことにも気がつきました。
もちろん検査機器もないし、治療薬もないし・・・。(そもそも治療薬があっても医師免許が届いていないのでできません。)
そんな感じで悩んでいると、車掌が「医療キットあります!」と筆箱くらいの大きさの入れ物を渡してきました。
「なんか小さいな・・・」と思いながらも開けると、組み立て式のショボすぎる聴診器の部品が3つくらいありました。
無事に組み立て、使えるのか使えないのか分からない聴診器になりましたが、これがあってもどうしようもないので、使いませんでした。
そして車掌が「救急車呼びましたが、特急ですが次の駅まで待てますか?次の駅までは5分くらいです。」と言われました。
つまり、各駅停車の本来止まらない駅に止まるか、本来の特急列車の駅に止まるか?の選択肢を迫られたわけです。
私は一瞬考えましたが、意識がしっかりしているし、本人にゆっくり大きく呼吸することを促すと、やや落ち着きそうな印象はあったので、「5分後の特急列車の駅で」と言いました。
30分先とかなら、流石に直近で止まってもらいますが、5分程度なら大丈夫と判断しました。
その後5分後、本来の止まるべき駅に止まり、すぐに救急隊が入って、救急搬送してくれました。
「お客さまの中にお医者様はいらっしゃいませんか?」に思ったこと
私が遭遇したのは電車内で、そこまで重傷ではないと思われる症例でした。
今、考えると臨床で見る頻度から考えて、心不全増悪あたりだったのかな・・・と思います。
しかし色々鑑別疾患を巡らしたところで、できることはほぼない。ということです。
心臓が止まればBLSなどの蘇生活動はすぐにできますが、逆にいうとそれくらい?な気がします。
医療キットあります、と言われて聴診器を出されても、2年間研修医をした今でも、何もできないでしょうし。
あと飛行機内の出来事ではなかったので、「飛行機を緊急着陸させますか?」の全ての乗客の予定を狂わせる可能性のある重大な決断を迫られなかったのは良かったです。
人命を最優先なら直近の駅、直近の空港であることがベストなのでしょうが、その判断を車掌やCAが聞いてくるということは可能ならば目的地まで行きたいということなのでしょう。
正直、そこの判断はまともな医療機器がない空間での判別はほぼ無理な気がします。
医療に100%はないので。
今後、またこのような場面に出会した際に、行くかというと、できれば行きたくないけど、行かざるを得ないのかな・・・といった感じです。
「よっしゃ行くぞ!」みたいにはならないと思います。
まとめ
本日は私が医師になってすぐ、もはやなる前に経験した急病人救護の経験について話ました。
恐らく、日本の医者の中でもトップレベルに医者歴浅い段階での経験ではないか、と思います。
無事に救急車搬送できた後は達成感はありますが、やはりヒヤヒヤした経験でした。
医師の方はいつ、こんな経験に出くわすか分からないので、事前に考えておくのも良いかと思います。
以上です!本日もご覧頂きありがとうございました!
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